2023/03/03
こんにちは。
ギャッベアートギャラリーの山田です。
かなり久しぶりの更新になりました……汗
お話ししたいこといっぱいなのですが、なかなか更新できずにいました。
今回はギャッベに使われている羊毛(ウール)のおはなしです。
突如書き留めたい!と思った理由は、私の後輩である髙橋が昨年7月にイランの遊牧地へ行った時の写真を見つけたのがきっかけです。
私がイランへ行ったのはもう早3年半前。……時が過ぎるのはあっという間ですね。
イランの遊牧地で見た、あの荒涼とした、広大な大地の景色、風、温度など色々な思い出が蘇ってきました。
特に遊牧している場所が、こんな環境なんだと体感できたことが一番の思い出だったので印象深かったです。
本題の羊毛のはなしに戻ります。
ギャッベには羊毛が使われているのですが、どんな羊毛かはあまり深く触れていなかったと思います。
ギャッベには、イランの山岳地帯で育てられている羊の毛が使われています。
現在最も多く育てられているメリノ種と比較すると、直毛でコシが強く、ごわっとした感じ。
メリノ種はスペインで品種改良されてうまれた品種です。
中央アジアの遊牧民は絨毯などの暮らしの道具として羊を飼ってきましたが、ヨーロッパでは衣類用として必要とされたので、加工しやすく、肌触りも柔らかい毛が採れるように改良されました。
直毛でコシのある毛質だからこそ、踏んで使う織物、絨毯には最も適している羊毛なのです。
上:様々な毛色の無染色の毛糸
下:刈り取ったままの状態の羊毛
また、イランの山岳地帯に住む羊は、身体に様々な毛色が混じっている品種ですので、
このように毛を刈り取る際に手作業で色分けして、その後染色に使用します。
元の毛色だけでもこれだけの種類がある…Σ(・□・;)と最初見たときは本当に驚きました。
刈り取ったままの羊毛では油や汚れで紡ぐことができないので、洗浄して専用の櫛でときほぐします。
ときほぐしたふわふわの綿毛の状態にしてから撚りをかけて糸にします。
この時、ときほぐした綿毛の中でも、繊維の長い毛=梳毛(そもう)をたくさん使用すると丈夫で上質な糸になります。短くてチリチリの毛は紡毛(ぼうもう)といい、紡げなくないですが繊維が短いので切れやすく、触り心地も良くありません。
ゾランヴァリ社のギャッベには梳毛糸が多く使われているので、毛ヅヤ、手触りのよいギャッベに仕上がっているのですね。
上:糸紡ぎとギャッベ織りの様子
羊毛の品質に関わってくるのは品種だけでなく、育つ環境も重要です。
同じ品種でも、平野か高山地帯かによっても毛質が変わると言います。
あとは刈り取る部位とか個体差とか……細かいところを言ってはキリがない!(笑)
それでも、イランのギャッベに使われる羊毛のことを少しでも知って頂けたら嬉しいです。
最後に余談ですが、世界の羊の頭数の多い国ランキングでは第5位(約41,304,000頭)でした!!
第1位は堂々の中国。あの羊で有名なニュージーランドとかよりも多くてびっくりでした。
羊の頭数が多いのは何と言っても”絨毯の生産国世界一”ということと大きく関係していると思います。
あと広大な大地。
調べてみると意外な発見があるものですね。
次回は染めについてお話できたらいいなと思います。
更新気長に待っていてくださいね~。