2020/05/13
皆様こんにちは
今年の4月からギャッベアートギャラリーで働いております、髙橋大和です。
展示会が中止となりなかなか皆様にお会いできる機会がなく、非常に残念に思っております。ただ社会人研修や絨毯についての知識など覚えるべきことは多く、忙しい日々を過ごしています。
さて、これまで当ブログでは展示会の情報やギャッベの紹介、山田さんの旅行記などを主に発信してきましたが、これからは私も発信者としてプログに携わっていくこととなりました。内容としては主にこれまで読んできた書籍の紹介をしていこうと考えております。これまで出会ってきた本たちの内容や魅力を皆様に知っていただけると嬉しいです。ブログを書くこと自体初めてのことであるのでお見苦しい部分も散見されるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
ということで初回となる本はこちら、1986年にアートダイジェストから発行された『ペルシア絨毯図鑑』。
この本は絨毯ギャラリーの大熊克巳氏や国立民族学博物館の名誉教授でおられる杉村棟先生などが協力して制作されました。少し古い本に思われる方もおられるかもしれませんが、絨毯の入門書としてこれ以上ない本だと思います。
内容としてはペルシア絨毯逸品紹介(遊牧民の絨毯も含む)に多くのページが割かれていますが、これがフルカラーで大変見やすい。さらに1900年代初頭の作品も多く、貴重な絨毯も多数記載されています。こうした絨毯は「オールド」や「アンティーク」などと呼ばれたりするもので現物を見る機会はなかなかないものです。本誌で紹介されている絨毯の中には現在と雰囲気が異なるものもあり、絨毯の様式の変化について考えさせられます。写真にあげたイスファハーンなどは現在とほとんど変わらない様式で絨毯が生産されていましたが、ナーイーンやカーシャーンなどでは今とは全く異なる様式の絨毯を生産していたことがわかります。それらの絨毯がどのタイミングでその産地ごとの個性を獲得するにいたったのか、非常に興味深いですね。
また後半部分には絨毯に関する用語の解説が書かれており、その歴史から主な産地、文様、染料等が非常に細かく記されています。画像はその中の文様の部分、絨毯の主な文様としてアラベスクやパロメットなどが記されています。ボテなんかはあまり聞き覚えの無い言葉かもしれませんが、ペイズリーといえばピンと来る人も多いのではないでしょうか?そう、ペイズリー文様ももともとは中東世界で使用されていた文様の一つなのです。こうしたものを参考に絨毯の文様と見比べてみるものなかなか面白いですよ。
はじめて絨毯のことを勉強される方から少し専門的な内容も知りたい方まで、幅広くおすすめすることができる一冊です。機会があればぜひ読んでみてください。
これから定期的に更新していく予定ですので、よろしくお願いいたします。