2021/11/01
ブログをご覧の皆様こんにちは、そしてありがとうございます。
ギャッベアートギャラリーの髙橋です。
前回のブログ更新からかなり間が空いてしまいましたね。調べてみたところなんと去年の9月以降の更新の様です。なんというか、、、こう、、、凄まじいですね、あきれちゃいますね。もし少しでも先が気になるとなっておられた方がおられましたら、大変申し訳ありませんでした。
一応紹介していた本、内容、書いた内容などはぼーんやり覚えており、嘘っぽいですが「更新しなきゃな―」と思う事もありました。ただ日々の忙しさに追っかけ回され続けなんと一年以上、そろそろ続きを書いていこうと思います。
紹介していた本は羽田 正著『モスクが語るイスラム史 建築と政治権力』。
イスラームの宗教施設であるモスクに焦点を置き、そこから発展した建築美術や政治などを解説している本となっております。前回は大まかにモスクの役割やその中に必ず設置されているミフラーブについてお話させて頂きました。今回は前回書ききれなかったモスクと絨毯のデザインの関係性についてお話していきたいと思います。
モスクと絨毯のデザイン、それだけを聞くと関連が無いように思えるのですが実はそれなりに関連性を見ることが出来ます。そもそもしっかりとしたモスクの内部には必ずと言っていいほど絨毯が敷いてあるものです。前回お話した内容を繰り返しますが、これはイスラームの聖典であるクルアーン(コーラン)の教えの中に「清潔な体・場所で礼拝をしましょう」というものがあり、多くのモスクでは体を清めるための洗い場があり、礼拝場は地べたではなく絨毯の敷きつめられた室内で行うことが多いです。以前テレビのニュースでとても綺麗とは言えない路上の上で礼拝をしているムスリムの方を見たことがあるのですが、それでも一応新聞紙を敷いてそのうえで礼拝をしていたことを覚えています。
イスラームの礼拝時に使用される絨毯ですが、その柄に使用されるのが一年前の冒頭に紹介したミフラーブ文様の絨毯です。両端に柱を描き上部にアーチを描く、モスク内部に必ず設置されるくぼみ、ミフラーブをデザイン化したものです。ミフラーブはモスク内部でも特別に美しく装飾されることが多く、花や唐草、文字文様などが施され、ギャッベにあるような動物表現がされることはほとんどありません。ここで描かれる植物文様や幾何学模様などはペルシャ絨毯の柄とも密接に関係しておりますが、モスクの中に使用されるミフラーブ絨毯も植物・文字が描かれることがあっても、現代の絨毯に見られるような動物表現がされることはまずありえません。イスラームの偶像崇拝に反するということで宗教関連の場所・物には徹底的に人物・動物表現が避けられます。ただ現代の宗教色が薄いギャッベになるとミフラーブ絨毯の中にも動物表現が登場するのは面白いところですよね。
またアーチの下にランプが描かれたペルシャ絨毯もいくつか見ることが出来ます。イスラム圏のランプですとトルコランプなんかは有名かもしれないですね。モスクには天窓があることもあり、日中はそこまで暗くないのですが、一日5回の礼拝の中には夜に行うものもあるので、モスク内にはランプが吊り下げられていることが多いです。ここで話は少し跳びますが、中東圏で信仰されているイスラームは1種類ではなく、いくつかの宗派があります。シーア派・スンナ派などが有名ですよね。その中には神との合一化を目指す神秘主義と呼ばれるものに分類されるイスラームも存在しています。有名なものですと主にトルコで行われている白い服を着てくるくる回るダンス、セマーというのですがあれをやっているメフレヴィ―教団なども神秘主義教団一つです。その神秘主義の教えの中に「神は光である」という教えがあります。ミフラーブは本来聖地であるメッカの方向を表すものですが、それ以外にも天国への門を意味しているともされます。ミフラーブ文様のアーチから吊るされるランプ、それは天国の門の先にいる神様、アッラーを表現しているものかもしれないですね。
モスクの中にあるミフラーブ、そしてそこに描かれる植物や文字、ランプなどの文様は絨毯とも密接な関係にあるものです。そこにある彼らの生き方や考え方なども含めて絨毯を好きになって頂けると嬉しいです。
今回はこれにて紹介を終わらせて頂きます。拙い内容でありましたが、読んで頂けたのであれば嬉しいです。今後はもう少し頻度を上げて更新していこうと思いますので、宜しくお願い致します。それでは。